top of page

以前のブログ「ソファに座って」の過去の記事はこちらをご覧ください「ソファに座って


平成56年5月31日以前に建築された木造住宅に対して、各自治体で補助金制度が用意されています。

概ね耐震診断に対して3万円、耐震改修工事に対して30万円から50万円程度のようです。

アトリエ105のある秋田県大館市近郊でも、大館市、鹿角市、北秋田市などで実施しています。秋田市や大仙市横手市などのほか秋田県以外の県でもそれぞれあるようです。

そしてこの補助金に合わせてリフォーム補助金も受けられる場合もありますので、56年以前に建てられた住宅にお住まいで、耐震改修しようと考えている方は各地域の市町村のホームーページ等で確認されたらいいと思います。

アトリエ105での例として「神山の家」が大館市の耐震診断、耐震改修工事の第1号で行いました。「神山の家」は同時に断熱改修も行い、内部も全面的にリフォームしました。

そのため工事費は建て替えに近いぐらいかかっていますが、全てを捨て去るのではなく、利用できるものは利用してある点でエコロジーですし外観的にも地域に馴染んだものを継承できたのではないかと思います。

神山の家



北国の家造りでは雪の問題は避けて通れません。道路から自分の敷地内に入ってから玄関まで、雪のないところでは、少し長くとって斜めから入るのが良いだのと言われますが、雪国ではそんなカッコつけてる余裕は今はありません。今はと書いたのは、かつては雪国でもそんな(斜め入り)家が結構造られていましたが、それはきっと労働力や時間的余裕が多少あったためではないかと思っています(当事務所でもありました。長き川の家なんか)。核家族になり、夫婦共働きで朝から晩まで忙しく働かないと生活出来ない現代では、雪寄せの負担も出来るだけ少なくて済むよう計画されたほうがいいように感じています。

その上でいかに玄関までのアプローチをデザインするか、いつも悩みに悩む点です。

地下水が豊富で将来的に維持管理をしっかり行っていけるのであれば、道路から玄関まで、地下水による融雪装置を設置するのも一つの方法です。地下水そのものはタダですのであとは汲み上げるための電気代ですから、それほどランニングコストはかかりません。現在では床のコンクリートの中にパイピングする無散水の方式が多く取られているようです。散水タイプの場合は水質により床面に色が付く場合がありますし、排水先も考慮に入れておかなければなりません。

それとポンプは配管はいずれは更新が必要になります。

アトリエ105の事例では東台の大屋根。玄関までのアプローチに雪がないのがわかります。

でも、この方法は維持管理が将来的にずっとかかってきます。

そこで、当事務所で多いのが屋根をかけちゃうという方法。

こちらは作ってしまえばとりあえずランニングコストはかかりません。もちろん建物そのものの維持管理は必要ですが、それは住宅そのものも同じですので、電気代やポンプの更新といったランニングコストがない分気が楽です。

問題はイニシャルコストです。玄関までのアプローチとしてのためだけに設置となると融雪装置より多くの費用がかかってしまいますので、出来るだけ家の屋根を伸ばしたりといった方法でコストがあまりかからず、それでいて外から見たときにみっともないようなデザインをいろいろ考えて設計しています。

例として清水町の家秋田東通りの家など。

ちょっと変わったところでは家は道路にくっついているけど、冬は風徐室で夏は解放的な

上町の家

雪国での家造りはいろいろ大変です。



木造住宅は増築がしやすい構造です。骨組みを作っているのが木なので、古くから木造住宅は大工さんによって簡単に増築がおこなわれてきました。

2階を増築するのも1階の梁を補強するなどすれば、使用してもなんの不安も不便もなくカタチとしては成り立ってしまいます。そのためこれまでは大工さんも気軽に施主の要望を受け入れ、耐震性などあまり細かなことは顧みず増築を行ってきた部分がありました。

しかし、実はそれほど簡単なことではありません。現在の建築基準法では増築する面積が元の面積の1/2を超える場合は現行の基準にすべて適合させる必要があるとされています。また、1/2を超えない場合でも増築する部分が元の部分と構造的に一体となっている場合は建物全体の耐力壁の釣り合い等を適合させる必要が有ります。

現行の基準にすべて適合させるとなると平成12年以前の建物では柱と土台や梁との接合部や筋交いの接合に金物を入れる必要があるなど、既存部分を相当解体しないと出来ない場合が多く、昭和56年以前に建てられた建物となると、全体にわたって解体して筋交い等の補強や金物をいれる、基礎を補強するなど建て替えた方がいいと思うほどになってしまいます。

1/2を超えない場合でも既存の筋交い等の耐力壁を調査して、足りない場合は追加する必要が有るなど、既存部分に手を加えないといけない場合も出てきます。

増築するというのは、面積を増やすことなので、それに従って建物重量がふえ、建物の表面積が増えることになります。そのため地震時の揺れや台風などの風に対して負担が増えることになるので、筋交い等の耐力壁を増やさないといけないというわけです。

今回の熊本地震でも多くの建物が損壊しました。震度7クラスの地震だと例え補強していても損傷を受ける場合もあります。現行の基準は損傷はしても倒壊して人命まで奪われることがないことが前提として作られています。

今回の地震で被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。また一日も早い復興をお祈りいたします。

日本はどこでも今回のような地震が起こる可能性があります。ですので増築する場合は相当注意を払って慎重に行う必要が有るとともに、新築の時から増築の可能性を考えて耐震性を高めておくことも必要ではないかと思うこの頃です。

下の写真今回の記事と特に関係ありません。木造住宅の骨組みをイメージしたものです


bottom of page